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看護計画
監修 小田正枝 徳島文理大学 名誉教授
実習でよく挙げる看護診断やよく出合う症状の標準看護計画を紹介します。

Part2
よく出合う症状の標準看護計画

⑤貧血
梶原江美 福岡看護大学基礎・基礎看護部門 准教授

標準看護計画

期待される結果(看護目標)

貧血の程度を示すヘモグロビン量が正常に近づく。

貧血の症状が軽減する。

貧血に伴う日常生活への影響が軽減する。

食事療法が適切に行える。

適切に服薬管理ができる。

[O-P]観察計画
看護計画
  • 皮膚や粘膜の色
  • 皮膚、眼球結膜、口腔粘膜
  • 随伴症状の有無
  • 易疲労感、倦怠感、眩暈、立ちくらみ、動悸、息切れ、収縮期機能性心雑音など
  • 貧血を起こしている原因疾患の症状の有無と程度
  • 血液検査データ
  • 肝機能検査データ
  • 栄養状態
  • 尿検査データ
  • 便検査データ
  • 日常生活状況
  • 患者と家族の不安の有無と程度
  • 貧血の治療に対する効果と副作用の有無と程度
  • 治療経過と患者・家族の反応(主観的情報)
根拠・留意点
  • ❶❷患者は貧血の症状だと自覚していないこともあるため、注意して観察する必要がある。
  • 貧血を起こしている原因疾患の症状と関連づけて患者の状態を把握する。
  • 診断の基準となる。
  • 溶血性貧血の場合は、間接ビリルビンが上昇する。
  • 巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12・葉酸の不足が原因で起こる。
  • 溶血性貧血の場合は、尿中ウロビリノーゲンが陽性になる。
  • 消化管の出血により貧血になっている場合は、タール便や潜血反応が陽性となる。
  • 貧血の原因によって治療経過は多岐にわたるため、患者とその家族の受け止め方などには注意しておく。
[C-P]ケア計画
看護計画
  • 安静
  • 保温
  • 室温の調節
  • 寝具・衣類の調節
  • 必要時、手浴や足浴を実施。
  • 食事療法
  • 快適な食事への促し
  • 必要量の食事摂取への促し
  • 皮膚・粘膜・毛髪の清潔と感染予防
  • 薬物療法の管理
  • 確実な投与
  • 副作用の有無
  • 転倒や外傷の予防
  • ベッド周辺や履物などの環境整備
  • 輸血療法の管理
  • 酸素療法の管理
根拠・留意点
  • 酸素供給不足のために活動における疲労度も増す。症状に合わせて、安静が必要である。
  • 代謝が低下することによって末梢の冷感が生じている場合がある。環境を整える際、保温できているか注意する必要がある。
  • 冷感のために睡眠が妨げられることがある。
  • 食欲低下時や必要な栄養素の取り込みが貧血改善につながる。
  • 代謝が低下することで感染のリスクが高まる。また、安静度により清潔を保持できない場合がある。
  • 貧血の原因に対する薬物療法であるため、確実な服薬と副作用の有無、効果を注意してみていく必要がある。
  • 酸素供給不足のために、ベッドやトイレなどで急に起立した際に立ちくらみやめまいが起こり、転倒を起こす恐れがある。また、歩行時のふらつきなどで転倒を起こす危険性がある。
  • 重症な場合に血液成分を補給する目的で行われる。血液型や有効期限の確認、副作用の有無などに注意する。
  • 指示された量の酸素が適切に体内に送られているか注意する。
[E-P]教育計画
看護計画
  • 自覚症状があれば、報告してもらうように説明する。
  • C-Pを日常生活のなかで実践できるように説明  ・  指導を行う。
  • 鉄剤の服用で便の色が黒くなることを説明する。
  • ヘモグロビン量(Hb)が改善しても、貯蔵鉄(血清フェリチン)が満たされるまで服薬する必要があるため、指示された服薬はきちんと守ることを説明する。
  • 貧血を改善させるための生活習慣について、説明・指導する。
根拠・留意点
  • 患者に今後の生活について説明する際の基盤となる。
  • ❷❸患者と家族の貧血に対する正しい理解は、異常の早期発見や転倒などの事故防止に役立つ。
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