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看護計画
監修 小田正枝 徳島文理大学 名誉教授
実習でよく挙げる看護診断やよく出合う症状の標準看護計画を紹介します。

Part1
よく挙げる看護診断の標準看護計画

③感染リスク状態
古庄夏香 福岡県立大学看護学部 准教授

定義

病原体が侵入し増殖しやすく、健康を損なうおそれのある状態

標準看護計画

期待される結果(看護目標)

感染を起こさない。

感染が防止できるように生活環境を整えることができる。

感染予防のための清潔行動を実施できる。

感染予防のための自己管理(服薬、食事など)ができる。

[O-P]観察計画
看護計画
  • 1.感染症を引き起こしやすい因子の有無と程度
  • 観血的処置の有無
  • 膀胱留置カテーテルの有無
  • 皮膚・粘膜・口腔の清潔状態
  • 栄養状態
  • 年齢、性別、遺伝的体質
  • 飲酒・喫煙の有無
  • 薬物療法
  • 先天性・後天性の疾患
  • 基礎疾患
  • 外傷の有無と程度
  • 2.感染を示す症状・徴候
  • 全身症状:発熱、悪寒、倦怠感、悪心・嘔吐、関節痛、筋肉痛
  • 炎症の5徴候:発赤、腫脹、熱感、疼痛、機能障害
  • 検査所見:WBC、CRP、血液培養、胸部X線
根拠
  • 1.感染を引き起こしやすい因子、感染の徴候をアセスメントし、感染を早期発見する。
  • 1-❶❷観血的処置や膀胱留置カテーテルがあると、体内と外界との交通ができるため、抵抗力が低下した場合や免疫機能の低下しやすい疾患に罹患している場合、病原体が侵入しやすくなる。
  • 1-口腔内の清潔が保てていない場合、肺炎になるリスクが高い。特に高齢者は誤嚥性肺炎を起こしやすい。
  • 1-抗菌薬、抗がん薬、免疫抑制薬の使用により免疫機能が低下する。
  • 1-❽❾免疫機能が低下しやすい疾患の場合、感染が起こらないように観察が必要である。
[C-P]ケア計画
看護計画
  • 1.感染源からの隔離
  • 面会制限
  • PPE(個人防護用具:ガウン、マスク、手袋)の着用(必要時、ゴーグル、フェイスシールド、キャップ、シューカバーの着用)
  • クリーンルーム、個室の使用
  • 無菌食、加熱食の提供
  • 2.排泄物・分泌物(便、尿、血液、体液など)の消毒・滅菌
  • 3.病原体の伝播予防のための環境整備
  • 室内環境を整える(換気、適温・適湿)。
  • 清潔な衣類、寝具、物品、機材の使用
  • 4.生体への病原体侵入の防止
  • 身体の保清
  • 清拭、口腔ケア、陰部洗浄、手洗いなど
  • 滅菌操作
  • 5.患者の抵抗力強化
  • 高タンパク、高カロリーの食事の提供
  • 心身の安静
  • 外傷の予防、皮膚・粘膜損傷の予防
根拠
  • 1.感染源を把握し、感染拡大しないように対策をとる。
  • 1-看護師の感染対策が十分でないと感染媒体になることがある。
  • 3.湿潤した病床やほこり、ベッド周囲の汚れなどが微生物の繁殖の原因となる。
  • 4-皮膚や粘膜を清潔に保ち、細菌の繁殖・侵入を防ぐ。
  • 5-栄養状態(特にタンパク質)の低下は、免疫機能を低下させる。
  • 5-精神的ストレスは免疫力を低下させる。
  • 5-外傷や皮膚・粘膜の損傷は、病原体の侵入経路となる。
[E-P]教育計画
看護計画
  • 体調に変化があった場合は知らせるように説明する。
  • 抵抗力を強化できるような生活調整が実施できるように説明する。
  • 十分な休養、栄養摂取、環境調整
  • 感染予防について説明する。
  • 〈例〉
    手洗いの方法、マスク着用
根拠
  • 感染の早期発見のために必要である。
  • ❷❸患者自身が感染予防や感染拡大についての知識を身につけ、意識的に対策をとることで感染予防ができる。

*T.ヘザー・ハードマン,上鶴重美 原書編集,上鶴重美 訳:NANDA-I看護診断-定義と分類2018-2020 原書第11版.医学書院,東京,2018:484.より転載

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