プチナース国試部
真剣に解いていたはずの過去問、よく読むと「あれれ?」。過去問におもしろく、まじめにツッコミを入れます!
今月のツッコミ!
国試トップクラスのパンチあるセリフ
- <no.12>第95回午後問題85
- 19歳の女性。身長160cm。体重35kg。交際していた相手から太っていると言われ、55kgだった体重を1年半で現在の体重まで減量した。月経は停止している。「まだまだ太っているのに、私は意志が弱くてやせられない」と言い、心配する母親に食事を盛り付けた食器を投げてけがをさせるなどの暴力行為があるため、精神科病棟に入院した。入院時の血液検査では血清総蛋白6.1g/dL、アルブミン3.2g/dL、Hb9.8g/dLである。
入院後も自らは食事をしようとせず、看護師が付き添って食事した後にもトイレで嘔吐していた。「太っていても平気な人の気が知れない。あなた、よく恥ずかしくないわね」と看護師を攻撃した。アセスメントで正しいのはどれか。
- 転換性障害がある。
- 注意力が障害されている。
- 解離性障害がある。
- 身体像が障害されている。
解答4 身体像が障害されている。
原稿を作成している時点では年末年始の食生活について反省モードに入っている筆者には刺激的な問題です。参考までにこの女性のBMI*を求めると、13.7――。驚いてしまいます。「太っていても平気な人の気が知れない。あなた、よく恥ずかしくないわね」はこれまでの国試の問題のなかでも一二を争うほど挑戦的なセリフだと思います。これは4の身体像が障害されているためであり、本心で言っているのです。
さて、この問題では1に転換性障害、3に解離性障害が挙げられています。どちらも正答ではありませんが、この2つをきちんと説明できる学生さんはよく勉強できています。転換性障害は精神症状が身体症状(麻痺や感覚機能の喪失等)に転換されたもの(かつてはヒステリーと呼んでいました)であり、解離性障害は「強いストレスやトラウマから健忘が起こる」「自分が自分であるという経験や感覚を喪失する」といったことが起こります。

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono
