プチナース国試部
過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!
- <no.40>第99回午前問題86
- 75歳の女性。パーキンソン病と診断され、レボドパ〈L-dopa〉と抗コリン薬とが投与されている。最近、尿意はあるが尿が出にくく、気が付くと尿が漏れているという。
対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 残尿量を調べる。
- 定期的な排尿誘導を行う。
- 骨盤底筋運動の指導をする。
- 抗コリン薬の服薬状況を確認する。
- 2,000mL/日以上の水分摂取を勧める。
解答1、4 抗コリン薬は、排尿機能に影響する
1.〇 健康な人は排尿後に尿が残らないことから、尿が出にくくなっていて膀胱にどのくらい尿が排泄されずに残っているかを調べるのが残尿測定です。
2.× 定期的な排尿誘導は、尿意がある場合には効果がありません。
3.× 腹圧性尿失禁ではないので、骨盤底筋運動は効果があるとは考えにくいです。
4.〇 自律神経障害が起こるパーキンソン病自体が下部尿路機能障害の原因になりますが、治療薬の抗コリン薬も原因となります。
5.× 尿を生成する機能の問題ではないため、摂取する水分量を増やしても尿が排泄しやすくなることはありません。
正答につながるポイント!
表1におもな下部尿路障害の原因を挙げました。問題文の症状のような場合には、抗コリン薬が正しく服薬されているか確認しましょう。抗コリン薬はアセチルコリン作動性の副交感神経を遮断することから、消化管運動・分泌の抑制、尿管・胆管の疝痛の軽減、心拍数増加、麻酔前投薬などの目的のために使われます。
1の残尿量の測定には、「超音波で調べる」「残尿測定器で調べる」「導尿をして測る」といった方法があります(導尿による測定は侵襲の高さと感染リスクから推奨されておらず、超音波、残尿測定器での測定が望ましいです)。残尿測定器は非侵襲的に腹部に機械を当てて測ることができます。
表1 下部尿路機能障害の原因
①排尿機能障害 | ②蓄尿機能障害 |
①下部尿路閉塞 ●前立腺肥大症 ●膀胱頸部狭窄 ●尿道閉塞 など ②排尿筋低活動 ●加齢 ●神経因性膀胱(糖尿病神経障害、子宮がん・直腸がん手術による骨盤神経障害) など ※問題中に挙げられている抗コリン薬などには膀胱収縮抑制作用があり、排尿を困難にすることがある |
①膀胱の知覚亢進 ②排尿筋過活動 ●加齢 ●中枢神経疾患(パーキンソン病、脳血管障害 など) ●炎症疾患(尿路感染、間質性膀胱炎) ③尿道括約筋障害 ●加齢・出産などによる尿道括約筋を含む骨盤底筋群の機能低下 など |
国試対策のポイント!
提示されている症状について何が原因になっているかをまず考えることが大切です。特に、わからないからといって、聞いたことがないことや難しいことがらを選ぶのはオススメできません。
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
