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プチナース国試部

国試教室

過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!

<no.38>第106回午後問題58(一部改題)
地域包括ケアシステムについて正しいのはどれか。
  1. 都道府県を単位として構築することが想定されている。
  2. 75歳以上の人口が急増する地域に重点が置かれている。
  3. 本人の選択と本人・家族の心構えが前提条件とされている。
  4. 地域特性にかかわらず同じサービスが受けられることを目指している。

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解答3 本人の選択と本人・家族の心構えが前提条件とされている。

1.都道府県を単位として構築することが想定されている。
→× 地域包括ケアシステムの単位は中学校区であることから誤りです。
2.75歳以上の人口が急増する地域に重点が置かれている。
→× 75歳以上の人口が急増する地域への対策は重要ですが、全国的な施策であり、人口が減少していく地域の問題にも対応できるよう地域の特性に合わせたシステムの構築が必要です。
3.本人の選択と本人・家族の心構えが前提条件とされている。
→◯ 図1を見てください。これは、地域包括ケアシステムの考えかたと構成要素の図で、ここに含まれていることから、選択肢3が答えとなります。
4.地域特性にかかわらず同じサービスが受けられることを目指している。
→× 選択肢2の解説のとおり、地域の特性に合わせたシステム構築をめざしており、該当しません。


図1 地域包括ケアシステムの5つの構成要素と「自助・互助・共助・公助」

●高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるような包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指す「地域包括ケアシステム」。

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地域包括ケアシステムにおける「5つの構成要素」

「介護」、「医療」、「予防」という専門的なサービスと、その前提としての「住まい」と「生活支援・福祉サービス」が相互に関係し、連携しながら在宅の生活を支えている。
【すまいとすまい方】
生活の基盤として必要な住まいが整備され、本人の希望と経済力にかなった住まい方が確保されていることが地域包括ケアシステムの前提。高齢者のプライバシーと尊厳が十分に守られた住環境が必要。
【介護予防・生活支援】
心身の能力の低下、経済的理由、家族関係の変化などでも尊厳ある生活が継続できるよう生活支援を行う。生活支援には、食事の準備など、サービス化できる支援から、近隣住民の声かけや見守りなどのインフォーマルな支援まで幅広く、担い手も多様。生活困窮者などには、福祉サービスとしての提供も。
【介護・医療・予防】
個々人の抱える課題にあわせて「介護・リハビリテーション」「医療・看護」「保健・予防」が専門職によって提供される(有機的に連携し、一体的に提供)。ケアマネジメントに基づき、必要に応じて生活支援と一体的に提供。
【本人の選択と本人・家族の心構え】
単身・高齢者のみ世帯が主流になる中で、在宅生活を選択することの意味を、本人が理解し、家族とともにそのための心構えを持つことが重要。


「自助・互助・共助・公助」からみた地域包括ケアシステム

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厚生労働省:地域包括ケアシステムの5つの構成要素と「自助・互助・共助・公助」.をもとに一部『平成28年3月 地域包括ケア研究会報告書』の内容を反映して作成


正答につながるポイント!

 地域包括ケアシステムは「健康支援と社会保障制度」「老年看護学」「在宅看護論」に加え、「看護の統合と実践」でも出題基準の小項目として挙げられています。これからも出題されそうな分野です。
 人数の多い団塊の世代(1947~49年の第1次ベビーブームのころに生まれた世代)が75歳以上の後期高齢者となる2025年の実現をめどに、高齢者が尊厳を保ちつつ、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい生活を人生の最期まで続けることができるよう、地域において包括的な支援・サービスの提供体制(地域包括ケアシステム)を構築することが推進されています。
 まずは図2をきちんと見ておくことが大切ですが、具体的なキーワードもきちんとまとめて理解しておくようにしましょう。そのためには図1の理解も必要です。
 新しいなと感じるのは、「本人の選択と本人・家族の心構え」や、「自助」のなかに「自分のことを自分でする」といったことが盛り込まれている点です。また「すまいとすまい方」という部分は課題(住居の安全性、経済力の個別性など)が大きく、どのように進めていくのか注視していく必要があると考えます。

国試対策のポイント!

 将来的な話なので、話題には挙がるはずですが実習等で体験することができないため、今後も注目すべき項目で、深く学習するに越したことはありません。


図2 地域包括ケアシステムの姿

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※地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区) を単位として想定
厚生労働省:地域包括ケアシステム.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiikihoukatsu/index.html(2021.3.10アクセス)

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)

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