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プチナース国試部

国試教室

過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!

<no.39>第106回午後問題69
Aさん(61歳、男性)は、水分が飲み込めないため入院した。高度の狭窄を伴う進行食道癌と診断され、中心静脈栄養が開始された。入院後1週、Aさんは口渇と全身倦怠感を訴えた。意識は清明であり、バイタルサインは脈拍108/分、血圧98/70mmHgであった。尿量は1,600mL/日で、血液検査データは、アルブミン3.5g/dL、AST〈GOT〉45IU/L、ALT〈GPT〉40IU/L、クレアチニン1.1mg/dL、血糖190mg/dL、Hb11.0g/dLであった。
Aさんの口渇と全身倦怠感の要因として最も考えられるのはどれか。
  1. 貧 血
  2. 低栄養
  3. 高血糖
  4. 腎機能障害
  5. 肝機能障害

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解答3 とくに大きく基準値を外れている検査項目に着目する。

 表1に示した基準値と比較すると、Aさんはすべての検査項目で基準値を外れています。しかし、特に大きく外れている項目が血糖値であり、基準値の70~109mg/dLと比較して著しい高血糖となっています。問題で問われている口渇は血糖値が上昇したことによる浸透圧利尿、全身倦怠感は全身の糖代謝が低下したことによるものと考えられます。
 状況設定文にある他の検査値を検討すると、1.貧血はヘモグロビンが低値でふらつきや息切れがある場合、4.腎機能障害はクレアチニンが高値で浮腫や尿量減少がある場合、5.肝機能障害はアルブミンが低値で浮腫がある場合などに考えられます。


表1 Aさんの検査値と基準値

国試教室画像

基準値は、奈良信雄 編:系統看護学講座 別巻 臨床検査.医学書院,東京,2014.と西﨑祐史,渡邊千登世 編:ケアに活かす検査値ガイド.照林社,東京,2011.を参考に作成
※ASTとALTの単位は、従来国際単位(International unit)を略したIU/Lを用いてきたが、今日ではU/Lを使用するようになってきている。ここではAさんの検査値は引用過去問にならいIU/L表記であるが、基準値は参考文献にならいU/Lとしている


正答につながるポイント!

 “ミニ状況設定問題”とも言えそうな一般問題です。
 中心静脈栄養(TPN:total parenteral nutrition)は、末梢静脈栄養(PPN:peripheral parenteral nutrition)より太く血流量の多い血管(鎖骨下静脈、内頸静脈など)に輸液製剤を注入することから、早く・多量の栄養投与が可能です。他方で感染のリスクなどもあるため、確実な管理が必要です(表2)。
 また、中心静脈栄養では高カロリー輸液が使われるため、血糖値の管理が必要です。
 この問題の患者さんは入院後1週、すなわち中心静脈栄養を開始して1週目です(図1)。バイタルサインに異常はなく、経口で水分が摂れないことから中心静脈栄養によって水分量は管理されているはずです。成人の1日尿量は1,000~1,500mLが基準値で、Aさんはやや多いですが輸液量などの情報がないため、尿量を正確にアセスメントすることはできません。


表2 中心静脈カテーテルのメリットとデメリット

メリット デメリット
●経口摂取できない場合・消化管機能が低下している場合でも、確実な栄養投与が可能
●末梢静脈栄養では静脈炎を起こすリスクのある高濃度の輸液製剤も投与可能
●消化管を使用しない経路のため、腸管の機能や免疫系の機能が低下するおそれがある
●感染症・合併症のおそれがある
●心臓に近い血管を使用することから、空気塞栓などのリスクがある


図1 中心静脈栄養の管理例

国試教室画像

田中芳明監修,株式会社大塚製薬工場:中心静脈栄養の管理例.より転載
https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/tpn/(2021.4.10アクセス)

国試対策のポイント!

 検査値のうち、「少し基準値から外れている」「大きく外れている」という項目をチェックしたうえで問題のテーマを確認してください。国家試験の問題では異常な検査データは1つか2つであることが多いのですが、この問題はそれ以上に存在する異常値のなかから判断することが求められています。
 近年、検査データのアセスメント力が要求されています。主要な項目の基準値を覚えて、異常が判断できることをめざしましょう。

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)

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