プチナース国試部
真剣に解いていたはずの過去問、よく読むと「あれれ?」。過去問におもしろく、まじめにツッコミを入れます!
今月のツッコミ!
くわしい知識がないと、解いているこちらまで混乱してきます…
- <no.22>第98回午前問題69
- 65歳の男性。2日前脳梗塞を発症し言語障害をきたした。「生年月日はいつですか」と尋ねたところ「はい、そうです。何だかわかりませんが、何にもどうにもいました。何かそういうあります」と明瞭な口調で答えた。運動神経麻痺はなく、統合失調症の既往はない。
この障害はどれか
- 作 話
- 構音障害
- ブローカ失語
- ウェルニッケ失語
解答4 ウェルニッケ失語
とてもよい問題ですが、会話のインパクトが強すぎますね。具体的な例を理解していないと自信をもって問題を解くことができません。
1の「作話」は、記憶障害のために以前の経験が思い出せず、経験していないことを実際の経験として話しますが、本人はその虚偽を意識しません。なので、試験前に優等生が「あ~全然勉強してない」と言うのは作話ではありません(笑)。問題の会話は作話ではありません。2の「構音障害」は意図した音が正しく発音できない状態ですが、「明瞭な口調で答えた」とのことなので該当しません。
となると、ブローカ失語かウェルニッケ失語のどちらかになりますね。解剖生理学でブローカ中枢(運動性言語野)とウェルニッケ中枢(感覚性言語野)を習ったと思います。セットで覚えるときは、「運動ブ(部)の言語感覚ゥ」と覚えておきましょう。
3の「ブローカ失語」では言葉は理解できるが発語ができなくなり、話せてもたどたどしい感じになります。4の「ウェルニッケ失語」は、発話はできるが相手の言葉の意味がわからなくなり会話が成立しません。これが答えです。
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono
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過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!
- <no.22>第106回午前問題65
- 訪問看護の利用者に関する訪問看護と病院の外来看護の連携で適切なのはどれか。
- 訪問看護報告書は外来看護師に提出する。
- 利用者の個人情報の相互共有に利用者の承諾書は不要である。
- 利用者が使用している医療材料の情報を外来看護師と共有する。
- 訪問看護師から外来看護師に利用者の外来診察の予約を依頼する。
解答3 利用者が使用している医療材料の情報を外来看護師と共有する。
1.訪問看護報告書は外来看護師に提出する。
→× 訪問看護計画書および訪問看護報告書については、表のように定められています。よって、1の「訪問看護報告書は外来看護師に提出する」は誤りで、主治医に提出します。
2.利用者の個人情報の相互共有に利用者の承諾書は不要である。
→× 個人情報を保護する観点から利用者の個人情報の相互共有をする際には、利用者の承諾書が必要です。これは訪問看護に限らず、施設入所中などでも同様であることから、ケアカンファレンスなどで個人情報を扱う際にも承諾が必要なので理解しておいてください。
3.利用者が使用している医療材料の情報を外来看護師と共有する。
→◯ 「どのような形で」「どこまで情報を共有するのか」が明らかになっていませんが、「利用者が使用している医療材料の情報を外来看護師と共有する」ことは可能だと思います。“医療材料の情報”というのが、たとえば「利用者本人と家族が使いやすいという理由で処置のときには○○という製品を使っているのでその製品のサイズや製造会社名を伝える」といったレベルであれば、個人情報とまでは言えないので可能と考えます。
4.訪問看護師から外来看護師に利用者の外来診察の予約を依頼する。
→× 「訪問看護師から外来看護師に利用者の外来診察の予約を依頼する」のは訪問看護師の業務ではなく、利用者かその家族がすることです。
正答につながるポイント!
外来と訪問看護の連携の全体像を知る機会が少ないことから、受験生にとってはおそらく解きにくい問題なのではないかと思います。「どうしてそう判断したのか」を考えながら、素直に解くのがコツです。
国試対策のポイント!
訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書の違いなどは盲点になりやすいところです。インターネットなどを利用して所定の様式がどのようなものであるかを見ておく、実習などで機会があれば実物を見ておくと記憶に残りやすいと思います
表 訪問看護計画書および訪問看護報告書の定義
❷主治医と連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため定期的に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出しなければならない。
平成12年3月3日 老企第55号 厚生省老人保健福祉局企画課長通知:訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて.より一部引用(強調は編集部による)
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
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