プチナース国試部
過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!
- <no.21>第104回午前問題90
- 精神障害者のリカバリ〈回復〉の考え方で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 患者に役割をもたせない。
- 薬物療法を主体に展開する。
- 患者の主体的な選択を支援する。
- 患者のストレングス〈強み・力〉に着目する。
- リカバリ〈回復〉とは病気が治癒したことである。
解答3 患者の主体的な選択を支援する。 解答4 患者のストレングス〈強み・力〉に着目する。
1.患者に役割をもたせない。
→× 「地域社会に参加」あるいは「生産的な生活を送る」を実現するためには役割をもつことが重要であることから誤りです。
2.薬物療法を主体に展開する。
5.リカバリ〈回復〉とは病気が治癒したことである。
→× 2は臨床的リカバリーに関係していますが、リカバリーの主体ではありません。同じく5は、リカバリーは治癒を指すものではないので誤りです。
3.患者の主体的な選択を支援する。
4.患者のストレングス〈強み・力〉に着目する。
→◯ これらは、リカバリーのポイントになります。ここでストレングスという言葉が出てきていますし、図にもエンパワメント(その人自身の失われた力や潜在的な力を引き出すこと、あるいはそのための働きかけのこと)があります。これらの言葉は、老年看護学や在宅看護論にも登場しますので、覚えておきましょう。
正答につながるポイント!
精神障害者のリカバリーの定義は種々ありますが、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の社会復帰研究部では「人々が生活や仕事、学ぶこと、そして地域社会に参加できるようになる過程であり、またある個人にとってはリカバリーとは障害があっても充実し生産的な生活を送ることができる能力であり、他の個人にとっては症状の減少や緩和である」1,2と定義しています。
リカバリーは、語の意味が広いため、臨床的リカバリーとパーソナルリカバリーに分けられ、さらにパーソナルリカバリーのうちの主観的リカバリーの構成要素には支援に必要な視点が含まれています(図)。問題にあったように主体性も重要な視点です。
国試対策のポイント!
リカバリ(リカバリー)という概念について学びます。概念は分野を問わず最近よく出題されます
〈引用文献〉
1.国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 社会復帰研究部:概要・リカバリー.https://www.ncnp.go.jp/nimh/fukki/about/recovery.html(2019.10.10アクセス)
2.President’s New Freedom Commission on Mental Health:Achieving the promise:transforming mental health care in America-Executive summary of final report(Rep.No.DMS-03-3831).Department of Health and Human Service,Rockville,2003.
3.山口創生,松長麻美,堀尾奈都記:重度精神疾患におけるパーソナル・リカバリーに関連する長期アウトカムとは何か?.精神保健研究 2016;62:15-20.
4.Slade M,Amering M,Oades L:Recovery:an international perspective.Epidemiol Psichiatr Soc 2008;17(2):128-137.
5.Cavelti M,Kvrgic S,Beck E,Kossowsky J,Vauth R:Assesing recovery from schizophrenia as an individual process.a view of self-report instruments.Eur Psychiatry 2012;27(1):19-32.
6.Leamy M,Bird V,Le Boutillier C,et al:Conceptual framework for personal recovery in mental health:systematic review and narrative synthesis.Br J Psychiatry 199:445-452,2011.
図 パーソナル・リカバリーの構成要素1,3,4,5,6

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
