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プチナース国試部

おもしろ過去問

真剣に解いていたはずの過去問、よく読むと「あれれ?」。過去問におもしろく、まじめにツッコミを入れます!

今月のツッコミ!

若くても、何歳でも、生きかたは見直してもいいと思います!

<no.21>第98回午前問題50
青年期の発達課題で最も適切なのはどれか。
  1. 社会的地位の確立
  2. 将来の方向性の選択
  3. 経済的な基盤の確立
  4. これまでの生き方の見直し

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解答2 将来の方向性の選択

 自分の青年期を振り返ると、看護学生になって看護師をめざしたころから猛烈に4の「これまでの生き方の見直し」を迫られた記憶があるのですが気のせいでしょうか? そうです、先生方や指導者さんからの容赦ない“叱咤激励”がありました……。何歳でも必要に応じてこれまでの生き方を見直していいと思いますね。
 にじんだ涙を拭きつつ、さらに選択肢を読むと、1の「社会的地位の確立」が果たせればおのずと3の「経済的な基盤の確立」もついてくるんじゃないか? いや経済的基盤が先でその後に社会的地位かしら? とグルグル考えてしまいますが、それらは脇に置いて冷静に解きましょう。
 この問題は個人的な見解を問うているのではなく、ハヴィガーストによる青年期の発達課題にある「経済的社会的自立に関する能力と自信の獲得」「職業選択とそのための準備」について問われています。使われている言葉に惑わされますが、1や3の実現のためには2の「将来の方向性の選択」が不可欠で、これが答えです。


国試教室画像

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono

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国試教室

過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!

<no.21>第104回午前問題90
精神障害者のリカバリ〈回復〉の考え方で正しいのはどれか。2つ選べ
  1. 患者に役割をもたせない。
  2. 薬物療法を主体に展開する。
  3. 患者の主体的な選択を支援する。
  4. 患者のストレングス〈強み・力〉に着目する。
  5. リカバリ〈回復〉とは病気が治癒したことである。

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解答3 患者の主体的な選択を支援する。 解答4 患者のストレングス〈強み・力〉に着目する。

1.患者に役割をもたせない。
→× 「地域社会に参加」あるいは「生産的な生活を送る」を実現するためには役割をもつことが重要であることから誤りです。
2.薬物療法を主体に展開する。
5.リカバリ〈回復〉とは病気が治癒したことである。
→× 2は臨床的リカバリーに関係していますが、リカバリーの主体ではありません。同じく5は、リカバリーは治癒を指すものではないので誤りです。
3.患者の主体的な選択を支援する。
4.患者のストレングス〈強み・力〉に着目する。
→◯ これらは、リカバリーのポイントになります。ここでストレングスという言葉が出てきていますし、にもエンパワメント(その人自身の失われた力や潜在的な力を引き出すこと、あるいはそのための働きかけのこと)があります。これらの言葉は、老年看護学や在宅看護論にも登場しますので、覚えておきましょう。


正答につながるポイント!

 精神障害者のリカバリーの定義は種々ありますが、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の社会復帰研究部では「人々が生活や仕事、学ぶこと、そして地域社会に参加できるようになる過程であり、またある個人にとってはリカバリーとは障害があっても充実し生産的な生活を送ることができる能力であり、他の個人にとっては症状の減少や緩和である」1,2と定義しています。
 リカバリーは、語の意味が広いため、臨床的リカバリーとパーソナルリカバリーに分けられ、さらにパーソナルリカバリーのうちの主観的リカバリーの構成要素には支援に必要な視点が含まれています(図)。問題にあったように主体性も重要な視点です。

国試対策のポイント!

リカバリ(リカバリー)という概念について学びます。概念は分野を問わず最近よく出題されます

〈引用文献〉
1.国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 社会復帰研究部:概要・リカバリー.https://www.ncnp.go.jp/nimh/fukki/about/recovery.html(2019.10.10アクセス)
2.President’s New Freedom Commission on Mental Health:Achieving the promise:transforming mental health care in America-Executive summary of final report(Rep.No.DMS-03-3831).Department of Health and Human Service,Rockville,2003.
3.山口創生,松長麻美,堀尾奈都記:重度精神疾患におけるパーソナル・リカバリーに関連する長期アウトカムとは何か?.精神保健研究 2016;62:15-20.
4.Slade M,Amering M,Oades L:Recovery:an international perspective.Epidemiol Psichiatr Soc 2008;17(2):128-137.
5.Cavelti M,Kvrgic S,Beck E,Kossowsky J,Vauth R:Assesing recovery from schizophrenia as an individual process.a view of self-report instruments.Eur Psychiatry 2012;27(1):19-32.
6.Leamy M,Bird V,Le Boutillier C,et al:Conceptual framework for personal recovery in mental health:systematic review and narrative synthesis.Br J Psychiatry 199:445-452,2011.


図 パーソナル・リカバリーの構成要素1,3,4,5,6

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執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)

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