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プチナース国試部

国試教室

過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!

<no.15>第100回午前問題54
慢性心不全の患者の急性増悪を疑うのはどれか。
  1. 体重の減少
  2. 喘息様症状
  3. 下肢の熱感
  4. くも状血管腫

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解答2 喘息様症状

1.体重の減少
→× 体重の「減少」ではなく、尿量が減少して浮腫が生じ、体重が「増加」します。
2.喘息様症状
→◯ 喘息様症状は、肺うっ血によって咳が出やすくなることによって起こります。よって、これが正解です。
3.下肢の熱感
→× 「熱感」ではなく、全身の循環が悪くなるので末梢は「冷たく」なります
4.くも状血管腫
→× くも状血管腫は赤い血管がクモの脚のように放射状に広がった状態で、肝硬変など肝臓の異常でみられます。過去(第99回)に写真素材で出題されているので図を見ておいてください。


正答につながるポイント!

 急激に心臓のポンプ機能が低下し循環不全に陥るのが急性心不全、心臓のポンプ機能が徐々に低下していくのが慢性心不全です。 例えば「急性右心不全」という状況もあるので、右心不全か左心不全のどちらかであると提示されている場合にはそれぞれの症状をまず考え、この問題のように提示されていないときにはうっ血性心不全(診断基準は)を思い出しましょう。

国試対策のポイント!

急性心不全と慢性心不全、またその急性増悪について特徴的な異常をおさえよう


表 フラミンガムうっ血性心不全診断基準
大症状2つか、大症状1つおよび小症状2つ以上を有するものを心不全と診断する

大症状 ●発作性夜間呼吸困難あるいは起座呼吸
●頸静脈怒張
●粗い断続性の副雑音
●心拡大
●急性肺水腫
●拡張早期性ギャロップ音(III音)
●静脈圧上昇(16cmH2O以上)
●循環時間延長(25秒以上)
●肝頸静脈逆流
小症状 ●下腿浮腫
●夜間の咳嗽
●労作時呼吸困難
●肝腫大
●胸水
●肺活量減少(最大量の1/3以下)
●頻脈(120/分以上)
大症状あるいは小症状 ●5日間の治療に反応して4.5kg以上の体重減少があった場合、それが心不全治療による効果ならば大症状1つ、それ以外の治療ならば小症状1つとみなす

Mckee PA et al:The natural history of congestive heart failure:the Framingham study.N Engl J Med 285;1971:1441-1446.より引用


図 くも状血管腫

国試教室画像

第99回看護師国家試験問題冊子 別冊:2.より引用

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)

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