プチナース国試部
真剣に解いていたはずの過去問、よく読むと「あれれ?」。過去問におもしろく、まじめにツッコミを入れます!
今月のツッコミ!
“極端な選択肢”に惑わされる…
- <no.24(最終回)>第105回午前問題52
- Aさん(102歳、女性)は、重度の廃用症候群のために5年前から発語が少なく体を動かすことができない。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返し、終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。
Aさんの家族への退院時の指導で最も適切なのはどれか。
- 「24時間付き添ってあげましょう」
- 「おむつの重さで尿量を測定しましょう」
- 「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」
- 「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」
解答4 「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」
内容的に“おもしろ問題”ととらえるのは不謹慎ですが、国試の問題特有の極端さがよく出ている問題です。「自宅で看取る決意をした」ということは、家族の協力体制ができているのだと思いますが、1のように24時間付き添うことは交代制であってもかなり困難で、家族の負担となります。2の尿量の把握は、死が近づくと尿量が減少してくることを連想させるねらいかもしれませんが、自宅でおむつの重量まで計測する必要はありません。
積極的な治療はせず自宅で看取るのであれば、苦しそうになっても3の救急車を呼ぶことはしません。答えは4の「食べたければ食べさせてあげましょう」です。誤嚥性肺炎という情報から選べなかった受験生もいると思いますが、Aさんの希望を尊重します。
どの選択肢も「振り切れた」印象のある問題でした。

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono
