プチナース国試部
真剣に解いていたはずの過去問、よく読むと「あれれ?」。過去問におもしろく、まじめにツッコミを入れます!
今月のツッコミ!
問題の選択肢が‘’禁句系”ばかり…
- <no.23>第97回午後問題87
- 35歳の男性。浪費と近所の人に対する暴力のため入院した。20歳代から精神科外来に通院し、気分安定(感情調整)薬が処方されているが、服薬を中断して入退院を繰り返している。入院には同意しているが、看護師に対して大声を出して威嚇し、足で蹴ろうとする。食事と水分は、この5日間ほとんど摂っていない。
- (問題85、86省略)
入院後5週が経過し、患者は規則的に気分安定(感情調整)薬の内服を行うようになり、穏やかにスタッフや患者と会話ができるようになった。現在、朝と就寝前の2回、合計4種類の錠剤を自己管理で内服している。ある朝、担当看護師に「薬を飲むと口がピリピリする」と相談があった。
この時の対応で適切なのはどれか。
- 「薬をやめてみますか」
- 「主治医に言ってください」
- 「気にしない方がよいですよ」
- 「どの薬を飲むとそうなりますか」
解答4 「どの薬を飲むとそうなりますか」
まず、問題文中に「気分安定(感情調整)薬」という語がたびたび出てきて、「ん?」と思います。気分安定薬はおもに双極性障害(躁うつ病)の治療薬として使われています。聞き慣れない薬の分類かもしれない、という配慮があったのかもしれません。
1の「薬をやめてみますか」は信頼関係がすでにある医師と患者間ならともかく、薬を処方する役割をもたない看護師が返す言葉として適切な場面は少なく、軽過ぎます。「じゃあやめます、と言われたらどうすんの?」とも思います。2の「主治医に言ってください」は「それを伝えるのがあなたの仕事でしょ!」と思わず突っ込んでしまいますし、3の「気にしない方がよいですよ」もあまりに無責任過ぎます。
ということで、状況を確認する「どの薬を飲むとそうなりますか」のみがまともな対応で、これが答えです。1つを除いて禁句系のセリフなので解くのは難しくありませんが、記憶に残る問題です。

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono
