プチナース国試部
真剣に解いていたはずの過去問、よく読むと「あれれ?」。過去問におもしろく、まじめにツッコミを入れます!
今月のツッコミ!
難聴だから音は聞こえない?
術後せん妄の患者さんへの正しい対応は……
- <no.08>第95回午後問題62・状況設定問題抜粋
- 94歳の男性。身長150cm、体重38kg。家族と暮らしている。(中略)高度難聴のため家族は手掌上の指筆談で意思疎通を図っていた。(中略)
自宅でトイレへ行こうとしたときに転倒し、動けなくなったため入院した。右大腿骨頸部骨折と診断され、鋼線牽引3kgを開始した。
腰椎麻酔下で内固定法による骨接合術が行われた。術後ブラウン架台上で良肢位がとられた。手術当日の夜、点滴チューブを引っ張りながら「お侍さんが朝から俺の手足を縛って、大きな鐘を鳴らしている」と身体を動かしながら大声で言い続けている。
対応で最も適切なのはどれか。
- 今は夜なので静かに眠るよう説明した。
- 手足の紐を外したので安心するよう説明した。
- 鐘の音は難聴のために聞こえないことを説明した。
- 点滴静脈内注射の必要性を説明した。
解答2 手足の紐を外したので安心するよう説明した。
94歳の患者さんで術後せん妄を起こしています。答えは2ですが、言っただけで理解していただけるかは非常に疑問です。ブラウン架台で患肢を挙上したままですし、点滴も継続したままではおそらく感じている拘束感は変わらないでしょう。かと言ってほかの選択肢は術後せん妄を起こしている患者さんへの言葉とはとても思えず(やたらと理屈っぽい)、「やはり2しかないか……」としょんぼり選択肢2を選ぶしかありません。
きわめつけは選択肢3の「難聴だから鐘の音は聞こえない」という理屈です。なぜ看護師がそう決めつけるのでしょうか……。

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono
