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プチナース国試部

国試教室

過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!

<no.43>第107回午後問題65
Aさん(70歳、男性)。1人暮らし。脳出血の手術後、回復期リハビリテーション病棟に入院中である。神経因性膀胱のため、膀胱留置カテーテルを挿入している。要介護2で、退院後は看護小規模多機能型居宅介護を利用する予定である。
退院後にAさんが行う膀胱留置カテーテルの管理で適切なのはどれか。
  1. 蓄尿バッグに遮光カバーをかぶせる。
  2. カテーテルは大腿の内側に固定する。
  3. 外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する。
  4. カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さない。

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解答3 外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する。

1.× 「蓄尿バッグに遮光カバーをかける」必要はまったくありません。退院後に尿の性状を調べる必要があるという情報もないので、根拠がありません。遮光カバーをかける必要があるような光に弱い薬液の入った場合の点滴バッグとの混同を狙っているのかもしれません。
2.× 通常の膀胱留置カテーテルを挿入した男性の場合、2の「カテーテルは大腿の内側に固定」せずに下腹部に固定します(尿道が長く、陰茎が動きやすいため)。大腿の内側に固定したほうがよいのは女性の場合です。
3.〇 「外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する」ことは外出にあたり身軽になりますし、蓄尿バッグを動かすことによってカテーテル内に尿が逆流するのを防ぐことができ、尿路感染などのトラブルを予防することができます。
4.× 「カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さない」については、外すことは感染予防の観点からなるべくしないほうがよいですが、「外さない」とまで言い切ることはできず、ケアのために必要があれば外します。


正答につながるポイント!

 平成30年版出題基準の「多様な生活の場とリロケーション」の要素を含んでいます。リロケーションとは「移転、転居」という意味です。高齢者に関しては「リロケーションシンドローム」や「リロケーションダメージ」といった現象が指摘されており、生活の場の変化によって身体的・精神的混乱をきたすおそれが高いことは想像できると思います。Aさんは回復期リハビリテーション病棟から在宅へのリロケーションが予定されています。
 この問題を解くにあたっては、「神経因性膀胱」と「看護小規模多機能型居宅介護」が気になるかもしれません。
 神経因性膀胱と聞くと精神的な要因が関係していそうなイメージがありますが、精神的な要因とは無関係で、中枢神経・脊髄・末梢神経の障害により膀胱の機能に問題が生じる(蓄尿・排尿機能のどちらか、あるいは両方が障害される)異常です。Aさんの場合は脳出血の影響が考えられます。
 看護小規模多機能型居宅介護の概要は図1のようになります。通所サービスを中心に、訪問看護、訪問介護や泊まり(ショートステイ)などサービスを組み合わせて受けることができ、必要に応じて短期入所や併設の施設に入所することも可能な事業所によって行われます。かつては「複合型サービス」と呼ばれていましたが、平成27年度からは看護小規模多機能型居宅介護という名称になりました。


図1 看護小規模多機能型居宅介護の概要

国試教室画像
国試対策のポイント!

 この問題に関しては「神経因性膀胱」「看護小規模多機能型居宅介護」について知らなくても正答することは可能ですが、問題を解いていて、わからない・あやふやな語があれば調べておくことが大切です。積み重ねが実力につながります。

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)

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