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プチナース国試部

国試教室

過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!

<no.36>第103回午前問題75
Aさん(45歳、女性)は、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉のため自宅で療養中である。Aさんは球麻痺症状が出現したため、経口摂取に加え、胃瘻による経管経腸栄養管理が開始された。
訪問看護師が行うAさんとAさんの家族への指導で適切なのはどれか。
  1. 水分は経口による摂取を勧める。
  2. 注入時間に生活パターンを合わせる。
  3. 経口摂取中の体位は頸部前屈位とする。
  4. 胃瘻からの半固形化栄養剤の使用は禁止する。

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解答3 経口摂取中の体位は頸部前屈位とする。

1.水分は経口による摂取を勧める。
→× 球麻痺によって言語障害、嚥下障害、咀嚼筋・呼吸に関係する筋肉の麻痺などが生じます。特に水分は誤嚥のリスクがあるので、経口摂取は行いません。
2.注入時間に生活パターンを合わせる。
→× 誤りで、反対に生活パターンに注入時間を合わせます
3.経口摂取中の体位は頸部前屈位とする。
→◯ 経口摂取中の体位は、頸部前屈位にすると誤嚥しにくくなります。上半身をしっかり起こすことが重要です。
4.胃瘻からの半固形化栄養剤の使用は禁止する。
→× 胃瘻に対しては、従来の液体の栄養剤を時間をかけて注入する方法のほかに、胃瘻用の半固形化栄養剤300~600mLを100mLあたり2~3分で注入する方法があります(半固形化栄養剤と同程度に粘度を調整したミキサー食なども同様に注入できる)。粘度があるため、胃に停滞することで生理的な反応が起こりやすく逆流がしにくいのが利点です。したがって、胃瘻からの半固形化栄養剤の使用は禁止する、というのは誤りです。


正答につながるポイント!

 具体的なケアに関する問題です。延髄は脊髄上方にあって球状であることから、延髄の脳神経核の障害による麻痺を球麻痺と呼んでいます。
 この問題から学んでほしいのは、以下の2点です。
●在宅看護論の問題を解くには「筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉」「球麻痺症状」といった内容を理解している必要があること
●本過去問の答えである「3」は、基礎看護学や成人看護学で学ぶ内容であること(しかも、知識としては必修問題レベルです。確実に得点できるようにしておきましょう)
 在宅看護論自体が統合分野の要素を含んでいます。疾患やそのケアに関する知識を、今一度見直しましょう。

国試対策のポイント!

 この問題に関連する内容として、「嚥下のメカニズム」「胃瘻の管理」「半固形化栄養剤」などが挙げられます。不安があれば、まとめておきましょう。

〈参考文献〉
1.大塚製薬株式会社:ラコールNF配合経腸用半固形剤 添付文書.

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)

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