プチナース国試部
過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!
- <no.05> 第105回午後問題51
- Aさん(75歳、女性)は、終末期のがんの夫を自宅で介護している。Aさんと夫は自宅での看取りを希望している。
Aさんへのケアで最も適切なのはどれか。
- 臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。
- 自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する。
- 配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める。
- 夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める。
解答1 臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。
1.臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。
→◯ 「臨死期に起こる身体徴候について説明しておく」ことは、Aさんにとって必要な情報(表1)で、それによってどのように対応すればよいかを判断できるようになります。“死が近づいたときの変化”もおさえておきましょう(表2)。
2.自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する。
→× 支援の目的に、「看取る人が揺らぐことがないように」というのは含まれません。不安や困ったことが表出できて、情報を得たうえで自宅での看取りを続けるのかを本人と家族が決断できるように支援します。
3.配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める。
→× 亡くなる前から勧めるというのは倫理的に問題がありますし、支援として適切とは言いがたいと考えます。
4.夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める。
→× ややわかりにくい文章なので読み間違いのないように注意します。思い出を語ることを禁止しているので、これは誤りです。夫本人がいやでなければ、元気だったころの思い出を語り合うのは夫婦にとって人生の統合という要素を含みます。
正答につながるポイント!
このような問題は、教科書や参考書のあるページに正解への手がかりが載っているような問題ではありません。しいていうなら、過去問によく似た選択肢がいくつかある程度です。看取られる人、看取る人の心情やQOLについて考えることができれば難しい問題ではありません。
国試対策のポイント!
終末期に関しては、「リビングウィル」「アドバンスディレクティブ」「グリーフケア」「エンドオブライフケア」などの用語の意味と関係する援助方法についてもまとめておきましょう。
表1 臨終前の変化(臨終1、2か月~数週間前)

表2 臨終前にみられる身体的変化

池西静江,石束佳子 編:看護学生スタディガイド2019.照林社,東京,2018:296.をもとに作成
【家族を看取る人のケアの例】

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Keiko Katsuyama
