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必修予想問題

必修予想問題

予想問題で必修問題対策。あわせて知っておきたい知識も解説!

<no.28>患者の権利
病院の倫理委員会が審議・審査する事項はどれか。
  1. 臓器移植に関わる事項
  2. 薬剤の廃棄に関わる事項
  3. 病院経営管理に関わる事項
  4. 病院職員の人事に関わる事項

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解答1 臓器移植に関わる事項

 厚生労働省による倫理審査委員会の定義は「臨床研究の実施または継続の適否その他臨床研究に関し必要な事項について、被験者の個人の尊厳、人権の尊重その他の倫理的観点及び科学的観点から調査審議するため、臨床研究機関の長の諮問しもん機関として置かれた合議制の機関をいう」となっている。
 「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)において、臓器摘出の場を提供する等のために必要な体制が確保されていること、施設全体で脳死した者の身体からの臓器摘出を行うことに関して合意が得られていること、施設内の倫理委員会等の委員会で臓器提供に関して承認が行われていること、などを満たす医療施設に限定して臓器移植を行えるとしている(1.〇)。2の薬剤の廃棄に関わる事項、3の病院経営管理に関わる事項、4の病院職員の人事に関わる事項は、病院や研究機関で行われる医療行為や研究に直接関係しない(2.3.4.×)。


ここもおさえよう

 倫理委員会(倫理審査委員会)は、病院や研究機関で行われる医療行為や研究などについて、患者の人権を守るために内容、目的、計画などを検討・審査しています。
 倫理委員会の運営などについて直接定めた法律はありませんが、医の倫理に関するジュネーブ宣言ヘルシンキ宣言の趣旨を判断基準としているところが多いです。病院によっては看護研究倫理委員会などと細分化していることもあります。


①ヘルシンキ宣言の内容
 ヘルシンキ宣言の序文では、「ジュネーブ宣言」が「私の患者の健康を私の第一の関心事とする」ことを医師に義務づけていること、「医学に関する国際倫理綱領」が「医師は、医療の提供に際して、患者の最善の利益のために行動すべきである」と宣言していることに触れています。
 一般原則のほか、「リスク、負担、利益」「社会的弱者グループ、個人」「科学的要件と研究計画書」「倫理委員会」「プライバシーと秘密保持」「研究に協力する際のインフォームド・コンセント」などの項目があります。


②ヘルシンキ宣言の国家試験での問われかた

第102回午前4(必修)
ヘルシンキ宣言で提唱されたのはどれか。
1.リビングウィル
2.ヘルスプロモーション
3.ノーマライゼーション
4.インフォームド・コンセント

[解答]4

解説:ヘルシンキ宣言で提唱されているインフォームド・コンセントは医学研究に関するものです。第102回以降、ヘルシンキ宣言=インフォームド・コンセントという覚えかたが受験生に浸透しました。しかしこのために、次に出題された第113回で間違う受験生が多くいました。


第113回午前5(必修)
臨床研究の倫理指針で被験者の権利を優先することを提唱しているのはどれか。
1.オタワ憲章
2.リスボン宣言
3.ジュネーブ宣言
4.ヘルシンキ宣言

[解答]4

解説:ヘルシンキ宣言はインフォームド・コンセントだけでなく、以下の内容も医師の責務としています。
●医学研究の対象とされる人々を含め、患者の健康、ウェルビーイング、権利を向上させ守ること
●研究の被験者の生命健康尊厳、全体性、自己決定権プライバシーおよび個人情報の秘密保持(被験者の保護責任はつねに医師またはその他の医療専門職にある。被験者が研究協力に同意していたとしても同様)

〈引用・参考文献〉
1.厚生労働省:ヘルシンキ宣言 人間を対象とする医学研究の倫理的原則.
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000051801.pdf(2024.7.17アクセス)
2.厚生労働省:「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン).
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001149827.pdf(2024.7.17アクセス)
3.厚生労働省:臨床研究に関する倫理指針.
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rinri/0504sisin.html(2024.7.17アクセス)

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)

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