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看護家庭Q&A
監修 任 和子 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授

看護診断の悩みを解決!

情報を整理して関連図を書いて、問題を明確化して言葉で表現しなければならない看護診断。看護診断の悩みを解決しましょう!

看護家庭Q&A

看護問題の優先順位はどうつけたらよい? どっちが優先か迷うときは?

看護家庭Q&A

一般的には、マズローのニードの階層を使って、患者さんの生命をおびやかす生理的問題や、患者さんの安楽や安寧をおびやかす問題を優先します。迷うときは暫定的に決めて、先に進みましょう

 看護診断は看護介入の優先順位の高いものから順に並べて記載します。優先順位を決めるとき、何を基準にするかという絶対的法則はありませんが、一般的にはマズローのニードの階層)を使って、患者さんの生命を脅かす生理的問題や、患者さんの安楽・安寧を脅かす問題を優先します。
 また、問題となる状態が存在する「顕在的問題」と、問題となるリスクがある「潜在的問題」では、顕在的問題を優先しますが、患者さんが解決を望んでいる順序を考慮することも大切です。
 どの問題を優先するかで悩んだ場合は、一応の暫定的な優先順位を決めて、先へ進みましょう。なぜなら、実際には複数の問題の看護介入が同時進行で実施されるものであり、また実施時の患者さんの状況により、優先順位は変化することもあるからです。


■図 マズローのニードの階層
看護過程Q&A
ヘンダーソンの基本的ニードとの対応は、生理的ニードが「基本的ニード1~8」、安全のニードが「基本的ニード9」、愛情と所属のニードが「基本的ニード10」、自尊心のニードが「基本的ニード10~11」、自己実現のニードが「基本的ニード12~14」です。
ヘンダーソンの看護論を使用している人は優先順位を考える際の参考にしてください。

人間の欲求を高次から低次に分類したもの。欲求が高いものから順に、①生理的ニード、②安全のニード、③愛情と所属のニード、④自尊心のニード、⑤自己実現のニード、となっている。

看護家庭Q&A

関連因子がたくさんあっても大丈夫?

看護家庭Q&A

関連因子が複数になることはありますが、診断名は1つであることは念頭において。関連因子が複雑で長すぎる場合は診断名とは別に箇条書きにしてもよいです

 #1 ベッド上臥床が長いことによる下肢の筋力の低下と自覚的な体力の低下に伴う歩行障害のように、診断名「歩行障害」の関連因子が、「ベッド上臥床が長いことによる下肢の筋力の低下」と「自覚的な体力の低下」の2つなど、関連因子が複数になることがあります。関連因子に挙げることで、具体的な看護介入につながります。
 関連因子が複雑で長すぎる場合には、「診断名」とつないで一文にせずに、まず「診断名」を書き、その「関連因子」として箇条書きにして表現することもできます。

看護過程Q&A

 このように、関連因子は複数あっても診断名は1つです。例えば、#2 ベッド上臥床による身体可動性障害と気分転換活動参加減少には「身体可動性障害」と「気分転換活動参加減少」の2つの診断名が書かれています。2つに分けるか、1つにまとめるかして、診断名は1つにする必要があります。

※T.ヘザー・ハードマン,上鶴重美 原書編集,上鶴重美 訳:NANDA-I看護診断−定義と分類2018-2020 原書第11版.医学書院,東京,2018:272,262,160.より転載

看護家庭Q&A

関連因子があいまいだと指摘されました。どうしたらいい?

看護家庭Q&A

個別的な看護介入を導き出すために、関連因子はできるだけ具体的に表現する必要があります

 診断名が同じでも、関連因子によって看護介入は異なります。同じ「自力で摂取することができない」(診断名にすると、摂食セルフケア不足)という問題が、「一時的な視力障害」に伴うものである場合と、「上肢の筋力低下により摂食具を保持できない」ことに伴うものである場合では、摂食の援助方法が異なります。つまり、看護診断における患者さんの個別性は関連因子で表現できるのです。より個別的な看護介入を導き出すために、関連因子はできるだけ具体的に表現することが大切です。

※T.ヘザー・ハードマン,上鶴重美 原書編集,上鶴重美 訳:NANDA-I看護診断−定義と分類2018-2020 原書第11版.医学書院,東京,2018:301.より転載