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看護家庭Q&A
監修 任 和子 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授

アセスメントの悩みを解決!

いちばん苦手意識が強いのがアセスメント。ここを何とかクリアして、診断、計画立案へ進みたいところ。アセスメントの悩みをみていきましょう!

看護家庭Q&A

情報はとりあえず「分類」したけど、「分析」ってどうやるの?

看護家庭Q&A

“正常”であるか“異常”であるか、放っておくと“異常”となる可能性があるのかを判断しよう

 まず使用しているアセスメントの枠組みのそれぞれの分類の内容をしっかり理解できていないと、“何”を分析していいかわからず、“とりあえず”分類することになります。まずは1つ1つの枠組みがどういった内容なのかをしっかり理解しておきましょう。そして情報1つ1つに着目し、それぞれの分類ごとに、“正常”であるか“異常”であるか、放っておくと“異常”となる可能性があるのかを吟味します。そのうえで看護介入の必要のあることは何かを判断するのが、解釈・分析です。このような解釈・分析をするためには、収集した情報と基準となるものとを比較する必要があります。
 例えば、血糖値などの検査データには基準値があるので、基準値と患者さんのデータを比較することによって、情報の意味を知ることができます。さらに、1週間前のデータや、治療前後のデータを比較することもできるでしょう。数値で表すことのできないものについては、病気になる以前の状態や入院前の生活、入院時のデータベースで示されている情報が基準となります
 また、「情報の解釈と分析」には、学生が考え、判断したことを記載します。実習指導者は、実習記録に記載された「情報(事実)」と「情報の解釈と分析」とを比較して、学生が思い込みや想像で判断していないか考え方の筋道が正しいかどうかを確認しています。詳しくていねいに記載することで、適切なアドバイスをもらうことができ、正確なアセスメントを書く手助けとなります。

看護家庭Q&A

「解釈・分析」の段階で、情報の不足に気づいたら?

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追加で収集しよう。しかし、アセスメントのプロセスには終わりがない! 暫定的でよいので、ある程度のところでまとめよう

 解釈・分析の段階で、情報の不足やあいまいさに気づいた場合には、患者さんに直接確かめたり、看護記録から得たりして、できる限り正確な情報を十分に集めることが大切です。
 しかし、患者さんの身体や心の状態は日ごとに変化するうえに、患者さんとの関係が深まるにつれて、より詳しい情報が加わるので、アセスメントのプロセスには終わりがありません
 「情報が足りない」「情報があいまいだ」と思ってばかりいると、いつまでも初期アセスメントを終えることができず、看護計画を立てられませんので、ある程度のところでまとめましょう
 アセスメントはその時点での暫定的な分析であり、不確定要素を含んだものであるので、足りない情報は「情報の解釈と分析」の欄にそれらを書き出しておき、徐々に補っていくとよいでしょう。

看護家庭Q&A

アセスメントが抜けていると指摘されました。どういうこと?

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アセスメントの中心となる、介入が必要であると判断する根拠を記載できていないのかもしれません

 アセスメントは看護介入をするために行うものです。どのような介入が必要かを「情報の解釈と分析」の欄に記載することは悪いことではありませんが、その介入が必要であると判断する根拠を情報から引き出して記載していなければ、焦点がずれてしまいますので、注意しましょう。
 よくあるのが、「BMI 24.9」「HbA1c14.2%」という情報を得て、「食事指導する必要がある」と記載しているというパターンです。看護介入の方向性が出されているけれども、介入する必要があると判断する情報の意味を引き出して記載していません。観察された情報から、「栄養摂取量が必要量よりも多かった可能性がある」という意味を引き出したからこそ、「退院後に適正な摂取カロリーで食事ができるようにセルフマネジメント教育・支援をする」という介入の方向性が出るのです。

*【HbA1c】hemoglobin A1c:ヘモグロビンエーワンシー