必修予想問題
予想問題で必修問題対策。あわせて知っておきたい知識も解説!
- <no.04>滅菌と消毒
- 細菌芽胞に最も効果がある消毒薬はどれか。
- エタノール
- ポビドンヨード
- グルタラール
- ベンザルコニウム塩化物
解答3 グルタラール
芽胞を形成する細菌にはボツリヌス菌、ウェルシュ菌、セレウス菌、破傷風菌、クロストリディオイデス・ディフィシルなどがあります。消毒薬以外の方法では、高圧蒸気滅菌法による2気圧121℃で15~20分間の加熱が有効です。
1.4.× エタノールはアルコール系消毒薬、ベンザルコニウム塩化物は第4級アンモニウム塩であるため、細菌芽胞には無効です。
2.× ポビドンヨードはヨウ素系消毒薬であるため、細菌芽胞に対して効果は不十分です。
3.〇 グルタラールはアルデヒド系消毒薬であるため、細菌芽胞に有効です。ただし、一定時間の浸漬を行う必要があります。
①芽胞:細菌が生命を維持するためにつくる厚い層
芽胞をつくる細菌はすべてグラム陽性菌です。これらの細菌は、発育環境が悪化すると生命を維持するために芽胞という構造体を形成します。芽胞は2種類の厚い外層をもち、水・乾燥・熱・薬品等に対して非常に抵抗性が強いのが特徴です。
そのため、芽胞を死滅させるには、人体には使用できない強力な消毒薬であるグルタラールを使用するか、高圧蒸気滅菌法で加熱をしなければなりません。
なお、細菌は芽胞の状態(休眠型)では増殖できません。増殖に適した環境になると、芽胞から細菌が出てきて増殖します(栄養型)。
②ウイルスと消毒薬:エンベロープがあるウイルスはアルコールが効きやすい
ウイルスと消毒薬の関係において大事なのは、脂質二重膜からなるエンベロープがあるかどうかです。DNAウイルスとRNAウイルスのどちらにもエンベロープをもつものがあります。
エンベロープは脂質から構成されるため、アルコールなどによって破壊され、感染性を失います。そのため、エンベロープをもつウイルスであるインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスにはアルコールが有効になるのです。一方で、エンベロープをもたないノロウイルスやA型肝炎ウイルスなどはアルコールが効きにくく、感染性を失わせるためにはより長い時間アルコールと接触させる必要があります。
〈参考文献〉
1.吉田眞一 著者代表:系統看護学講座 専門基礎分野 疾病のなりたちと回復の促進[4] 微生物学.医学書院,東京,2022.
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
