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プチナース国試部

国試教室

過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!

<no.37>第107回午後問題45
造影CTの際に最も注意が必要なのはどれか。
  1. 閉所に対する恐怖がある患者
  2. 気管支喘息の既往がある患者
  3. ペースメーカーを装着している患者
  4. 既往に上部消化管造影検査後の腹痛がある患者

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解答2 気管支喘息の既往がある患者

1.閉所に対する恐怖がある患者
→× CT機器の両端は開いているため、MRIよりは閉塞感が低いことなどを説明します。どうしても耐えられない場合は検査を中止するなども可能なので、生命に直結することはまれと考えます。
2.気管支喘息の既往がある患者
→◯ 造影CTには、禁忌あるいは原則禁忌とされている疾患があります(表1)。気管支喘息などアレルギー性疾患の既往があると(現在は症状がなくても)、副作用(表2)の出現の可能性が高いとされており、最も注意が必要と判断します。「最も注意が必要」という設問の意図がつかみにくいですが、検査中に生命の危険があるということではこれが正答になります。
3.ペースメーカーを装着している患者
→× ペースメーカーを装着している患者のうち、ペースメーカーの一部にX線が照射されると誤作動を起こすものはありますが、ペースメーカー手帳で確認して問題がなければ検査を行うことはできるので、検査中のペースメーカー自体が危険ということはありません。金属部分があるペースメーカーに対してMRI検査ができませんでしたが、現在ではMRI検査が可能なタイプのペースメーカーとリードがあるということも知っておきたい知識のひとつです。
4.既往に上部消化管造影検査後の腹痛がある患者
→× バリウムの影響による腸管運動の低下や便秘などによって腹痛が生じますが、造影CTを新たに行う場合との関連は低いと考えます。
*【CT】computed tomography:コンピュータ断層撮影
*【MRI】magnetic resonance imaging:磁気共鳴画像診断


表1 単純CT検査と造影CT検査

単純CT検査
●造影剤を使用しないで行う検査
●脳内出血や骨の形状、肺の異常などを確認するのに向く
造影CT検査(ヨード造影剤の場合)
●造影剤を経口的あるいは経静脈的に与薬して行う検査
●腫瘍の有無や血管の状態を確認するのに向く
●禁忌とされる疾患があるため、確認が必要
禁忌
甲状腺機能亢進症 重篤な腎障害 ●気管支喘息 ●重篤な心障害 ●重篤な肝障害 ●マクログロブリン血症 ●多発性骨髄腫 は禁忌、●は原則禁忌


表2 ヨード造影剤の副作用

程度 症状
軽度 ●悪心・嘔吐 ●熱感 ●潮紅 ●発汗 ●咳嗽 ●瘙痒感 ●くしゃみ ●鼻閉 ●限局性発疹 ●頭痛 ●眩暈 ●嗄声
中等度 ●軽度の血圧低下 ●全身性発疹 ●気管支けいれん ●喘鳴 ●呼吸困難
重度 ●意識低下・喪失 ●ショック ●アナフィラキシー様症状 ●喉頭浮腫 ●けいれん ●肺水腫 ●不整脈 ●心肺停止
三角和雄 監修,飯塚大介,須藤麻美 編:循環器ナースのギモン.照林社,東京,2017:158.より引用

正答につながるポイント!

 CT(コンピュータ断層撮影法)についての問題です。大きく分けて2つの撮影法があります(表1)。 造影剤には表3などがありますが、ヨードに代表される造影剤に含まれる成分について、過敏症の既往のある場合にはその造影剤を使用することはできません。

国試対策のポイント!

 CTは被曝が、MRIは体内に金属が入っていることが検査上での問題となります。造影剤を使う場合はさらに注意が必要です。


表3 造影剤の種類

X線造影剤 陽性造影剤(X線吸収が多い) ヨード造影剤 注射剤 水溶性 ウログラフィン、イオパミロン、オムニパーク、イソビストなど
油性 リピオドール
経口剤 ガストログラフィン
バリウム造影剤 経口剤 バリトップ
陰性造影剤(X線吸収が少ない) 空気、酸素、二酸化炭素
MRI造影剤 陽性造影剤 注射剤(ガドリニウム造影剤) 環状型:プロハンス、マグネスコープ、ガドビスト
線状型:オムニスキャン、マグネビスト
経口剤 フェリセルツ
陰性造影剤 経口剤 ボースデル
注射剤 リゾビスト

●造影剤使用時の注意点
►経口消化管造影剤の場合には含まれる成分に過敏症の既往がある場合には使用できない。その他、ボースデルでは消化管穿孔やその疑いがある場合には禁忌であるなどの注意点がある
►経静脈的に与薬される造影剤も含まれる成分に過敏症の既往がある場合には使用できない。一般状態が極度に悪い、気管支喘息がある、重篤な心障害・肝障害・腎障害なども禁忌となる造影剤がある。患者本人または両親・兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を有する患者や、他の薬物過敏症の既往歴のある患者などは慎重に使用する必要がある。使用中や直後のほか、使用後数日経っても遅発性副作用の発現の可能性があることを念頭に置く(副作用には軽度の皮膚反応から重症となるものまであり、過敏症発症の予測はできない。したがって救急カートを準備して検査を実施する)。造影剤によっては腎機能の低下が生じる恐れがあるので、造影後の十分な水分摂取を指導する
►経静脈的に与薬される造影剤を注入したルートから別の薬剤を注入するときは、その前に静脈ラインやカテーテルを生理食塩水で念入りに洗浄しなくてはならない
〈参考文献〉
1.ボースデル添付文書.
2.フェリセルツ添付文書.
3.オムニスキャン添付文書.

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)

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