プチナース国試部
真剣に解いていたはずの過去問、よく読むと「あれれ?」。過去問におもしろく、まじめにツッコミを入れます!
今月のツッコミ!
“新しい高齢者像”が国家試験に現れました!
- <no.20>第106回午後問題91〈状況設定問題、他問題は割愛〉
- Aさん(82歳、男性)は、介護付の有料老人ホームに入居している。10年前まで会社を経営していた。プロ野球や世界経済に興味があり、友人とインターネットを用いて交流するのを楽しみにしている。Parkinson〈パーキンソン〉病で、現在Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージII。両側の上下肢の静止振戦や動作緩慢がみられる。食事は自分の居室に運んでもらって食べている。身の回りのことは1人でできる。1人での外出も可能だが、転倒に対する恐怖が強いため1日中室内で過ごしている。
Aさんの障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準のランクはどれか。
- ランクA
- ランクB
- ランクC
- ランクJ
解答1 ランクA
106回(2017年)の国家試験の問題からなので、82歳と言えばおよそ1935(昭和10)年生まれです。プロ野球好きは珍しくないとしても、世界経済とインターネットとくれば、これはもう“新しい高齢者像”と言えそうです。
「地味な色味の服装をして演歌や民謡を好む…」というような高齢者は、これから少なくなっていくのでしょう。バスや電車で、スマートフォンを手にLINEを使いこなす高齢者も見かけるようになりました。たしかに将来自分が高齢になって入居するとしたら、有料老人ホームにWi-Fi設備がないと困ります。
さて、問題自体は日常生活自立度(寝たきり度)判定基準についてで、この内容はときどき出題されます。「屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない(準寝たきり)」のランクAで「1.介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する。2.外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている」状態が該当します。ちなみに4のランクJは「自立(jiritsu)」の頭文字というのは豆知識です。
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono
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過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!
- <no.20>第104回午後問題78
- Aさん(28歳、初産婦)は、妊娠11週である。身長160cm、体重52kg(非妊時体重50kg)である。現在は身体活動レベルI(非妊時は身体活動レベルII)で妊娠経過は順調である。
現時点で非妊時と比べて食事に付加することが望ましいのはどれか。
- 糖 質
- 葉 酸
- 蛋白質
- カリウム
- カルシウム
解答2 葉酸
1.糖 質
4.カリウム
→× 妊娠初期(14週未満)、妊娠中期(14~28週未満)、妊娠後期(28週以降)の食事摂取基準(表1)を見てください。ここに挙げられている栄養素は不足しやすい、あるいは母体と胎児にとって重要な栄養素です。糖質、カリウムはここに挙げられていないため誤りだと言えます。
2.葉酸
→◯ 妊娠初期に葉酸が不足すると二分脊椎・無脳児(神経管閉鎖障害)、口蓋裂のリスクが高まるため、これが正解です。
3.蛋白質
5.カルシウム
→× 蛋白質とカルシウムも表1にありますが、妊娠初期には蛋白質とカルシウムの付加量は0のため誤りです。
正答につながるポイント!
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」において、妊娠可能な女性への注意事項としては、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、「付加的に400μg/日のモノグルタミン酸型葉酸(食事性葉酸では800μg/日に相当)の摂取が望まれる」という記述があります。
国試対策のポイント!
どの栄養素をどのくらい付加する必要があるかしっかり覚えておきましょう
表1 妊娠中の食事摂取基準
対象 | エネルギー (kcal/日) |
蛋白質 (g/日)* |
カルシウム (mg/日)* |
鉄 (mg/日)* |
葉酸 (μg/日)* |
非妊娠女性 | 1,950~2,000 | 50 | 650 | 6.0~6.5 | 240 |
妊娠初期 (~13週6日) |
+50 | +0 | +0 | +2.5 | +240 |
妊娠中期 (14週0日~27週6日) |
+250 | +10 | +0 | +15.0 | +240 |
妊娠後期 (28週0日~) |
+450 | +25 | +0 | +15.0 | +240 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
※非妊娠女性は18〜49歳の身体活動レベルIIの女性とする
※鉄は「月経なし」のデータ
*推奨量
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
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