試験中にせつなくなる余裕はないかもしれませんが、看護師になるドリームをカムトゥルーするために一生懸命問題を解いている受験生にはあまりに酷な問題です。「え、2年目でもう“うつ状態”になっちゃうの?」と手が止まるかもしれません(答えは3)。もう少し設定を何とかできなかったのでしょうか。私は2年目よりも1年目がつらかったですが、それだと受験生にはより近い未来であり、もっとシビアな設定になってしまいますね。
「緘黙(かんもく)」が見慣れない言葉かもしれませんが、明瞭な言語を返すことができない状態のことで、精神科看護では場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)で使われることが多いです。場面緘黙症とは言語能力に問題はありませんが、ある集団のなかや特定の環境などで話せなくなる状態のことをいいます。
最後にアメリカ精神医学会のDSM-5(*1)のうつ病(DSM-5)/大うつ病性障害の診断基準と設問の情報を照らし合わせてみます。表情が乏しいのは「すべての活動への興味、喜びの著しい減退」、ばかばかしいと怒ることもあるのは「毎日の抑うつ気分、小児や青年ではいらだたしい気分もありうる」、食欲の減退(※)と不眠も該当しそうです。
*1【DSM-5】Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition:精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版
※食欲の増加も問題となります。
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono