今回はかなり以前の問題で、正答例が公表されていない時代の問題です。女性の意識はあるようですが、これは本気でどうしたらいいのでしょうか。というのは、救命するためには、気管に14G針などのなるべく太い針を刺す必要がありますが(おそらく正解は1)、どこに刺せばよいのかということまでは学校で教えていないからです。
救急車で搬送されたので現場は病院なのだと思いますが、搬送直後に看護師がいきなり自己の判断で太い針を刺すのでしょうか? 現実的ではないです。医師がいるのであれば看護師として行うべきは、気管挿管・異物除去・除細動・心臓マッサージの準備です。やや冒険的すぎた問題の一例ですね。
ちなみに針を刺すならどこに刺すか。答えは甲状軟骨と輪状軟骨の間(輪状甲状靭帯穿刺法)ですが、深く刺しすぎると気管を貫通してしまいますし、正中を大きく外れると血管を穿刺するおそれがあるので、細心の注意が必要です(図)。また効率的な換気はできないので一時的な気道確保法です。
図 甲状軟骨と輪状軟骨の位置関係
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono, Kazuhiro Imasaki