ペースメーカーの心電図ではないときは、QRSのR波が目立つのでR-R間隔で計算するのがわかりやすいですが、ペースメーカー波形にはノッチ(「正答につながるポイント!」参照)があるので前のノッチから次のノッチまでの時間を計算します。
問題では記録速度が毎秒25mm(方眼の下にあります)で、ノッチ同士の間隔がおよそ18mmあることから18/25mm=0.72秒が1拍です。ここから60秒に何拍入るかを計算すると、60÷0.72=83.3拍となり、答えは3の70/分以上、90/分未満となります(図1)。
図1 心電図波形からの心拍数の読み取りかた
これまで、看護師国家試験では心臓ペースメーカーについてはほとんど出題がありません。この問題もペースメーカー自体のことではなく、心電図を見て心拍数を計算することができるかどうかが問われています。
まずノッチについて説明します。ノッチはペースメーカー装着時の心電図のみにあるのではなく、原因を問わず生じたV字あるいはU字の切り込みのような小さな波のことをさします(何かの測定圧など継続的にモニタリングしているグラフの波形でもノッチという語が使われたりします)。心電図は一般に図2のように分けています。
ペースメーカー装着時の心電図では、図3のようなノッチがペースメーカーからの電気刺激が入るタイミングとなり、これをペーシングスパイクといいます。
デジタル心電計では紙送り速度の設定ができるので、スケール(この問題の場合は「記録速度=25mm/秒」のこと)が提示されるので、そこから自分で思考・計算する力が求められています。
図2 心電図上で見られる特異な波形(例)
図3 ペーシングスパイク
ペースメーカーの作動状況を確認するには、まずペーシングスパイクが正しく出ているかを必ずチェックします。
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)