解答4 酸化エチレンガス

 EOG滅菌に使われる酸化エチレン(エチレンオキシド)ガスはアルキル化剤の成分を含みます。金属を腐食させにくく、低温で滅菌できるため耐熱性の低い光学器械、ゴム製品、プラスチック類などに使われますが、残留したガスに毒性があるためガスエアレーター(専用ガス抜き装置)でガスを排除してから使用します(4.)。
 1のLPガスは燃料ガスの1つであり、2のNOガスのNOとは一酸化窒素のことです。NOガスは血管拡張作用があるため、肺高血圧を合併した新生児の低酸素性呼吸不全や心臓手術の周術期における肺高血圧の改善に使用されます。3のヘリウムガスは化学反応を起こしにくく引火や爆発の危険も少ないガスです。

*【EOG】ethylene oxide gas
*【LP】liquefied petroleum
*【NO】nitric oxide


ここもおさえよう

①消毒でおさえるポイント
●消毒は人畜に有害な病原微生物を死滅させるか感染力を失わせることをいいます。
●消毒薬に対する抵抗性が最も高いのはプリオンタンパク質であり、クリプトスポリジウム属、細菌の芽胞、結核菌などの抗酸菌が続きます。細菌の芽胞に有効とされるのはグルタルアルデヒドのみです。
●消毒薬に対する抵抗性が最も低い(=感受性が高い)のはエンベロープをもつHIVB型肝炎ウイルスなどです。
●医療材料を消毒する際には表1の4点を守りましょう。

*【HIV】human immunodeficiency virus:ヒト免疫不全ウイルス


表1 医療材料の消毒で気をつけること

有効な濃度の消毒薬で行う
②一般に、消毒薬の温度が高いほうが消毒効果は高まるが、グルタルアルデヒド系、次亜塩素酸ナトリウムなどは揮発して有害性が生じるため、室温より高くしない
③消毒する物に有機物(生体内で作られるタンパク質・脂肪など、体液、排泄物など)が付着していると効果が減弱するため、有機物は取り除いてから消毒する
④消毒薬の種類によって浸漬しんせきさせるべき時間があるので守る

②減菌でおさえるポイント
●滅菌とは、対象物に存在するすべての微生物を死滅させることです。
●減菌には表2のような方法があります。


表2 減菌の方法
①熱による滅菌 高圧蒸気滅菌法オートクレーブ
●乾熱滅菌法
●火炎滅菌法
②放射線による滅菌 ●γ線の照射
③ガスによる滅菌 酸化エチレンガスエチレンオキシドガスEOG
●ホルムアルデヒドガス
●過酸化水素低温プラズマ

〈引用・参考文献〉
南嶋洋一,吉田眞一,永淵正法,他:系統看護学講座 専門基礎分野 疾病のなりたちと回復の促進[4] 微生物学 第14版.医学書院,東京,2022.

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)