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看護計画
監修 小田正枝 徳島文理大学 名誉教授
実習でよく挙げる看護診断やよく出合う症状の標準看護計画を紹介します。

Part2
よく出合う症状の標準看護計画

③がん性疼痛
下舞紀美代 関西看護医療大学看護学部看護学科 教授

標準看護計画

期待される結果(看護目標)

痛みが緩和する。

夜間の睡眠が、痛みで阻害されない。

不安や恐怖を表出できる。

穏やかに過ごすことができる。

[O-P]観察計画
看護計画
  • バイタルサイン
  • 顔貌(苦悶様、渋面、無表情)
  • 痛みに対する言動
  • 痛みの部位と性状
  • 痛みの持続時間
  • 痛みの随伴症状と増悪因子・緩和因子
  • 食欲、悪心  ・  嘔吐、便秘などの有無
  • 鎮痛薬使用の効果
  • 睡眠状態
  • 家族関係、サポートシステム
根拠・留意点
  • 上の項目を観察し、痛みの発生や緩和状況をアセスメントする。
  • 日常生活への影響を観察することで、QOL[生活(生命)の質]を把握する。
  • 鎮痛薬使用の効果は、次回の薬剤選択、量のめやすとなる。
  • ❷❾がん性疼痛は、鎮痛薬を使用していても、時に耐えがたい疼痛が起こる。❷❾は言語化できない苦痛のサインとなる。
[C-P]ケア計画
看護計画
  • 安楽な体位をとる。
  • 患者の言葉を傾聴し、共感的な姿勢を示す。
  • タッチングやマッサージを行う。
  • 薬剤管理(自己管理できない場合や静脈注入による鎮痛薬の投与の場合)を行う。
  • 好みに合わせた食事の工夫を行う。
  • 排便コントロールを行う。
  • 人との適度な交流を図る。
  • 気分転換活動を行う。
  • 好きなことが楽しめる環境を調整する。
  • 家族への言葉かけを行う。
根拠・留意点
  • ❷❸がん性疼痛については、身体的な痛みだけでなく、精神的な痛みもふまえた看護ケアを行う。
  • ❷❸患者は話を聞いてもらうだけで気分が楽になることがある。しかし、無理強いをしたり、自分の意見を一方的に話すのではなく、あくまで「聴く」ことが大切である。話すことで安寧を図ることが目的である。
  • 病状の悪化で食欲は低下するが、少量の摂取量でも満足感が得られるように好みに合わせた食事を工夫する。るいそう(やせ)や食欲の低下は死への恐怖につながるため、心理状態が不安定になりやすい。
  • オピオイドの使用により腸の蠕動運動が低下し、便秘を起こしやすい。あらかじめ身体的苦痛が予測でき解決可能なものには、早めに対応しコントロールする。
  • 家族の面会や友人との会話は、社会的孤立感、孤独感を緩和させる。痛みは、主観的な体験であるが、精神的な因子がかかわっていることがある。他者に受け止めてもらうことは緩和効果に影響する。
  • 患者にとってがん性疼痛は非常につらいものであり、苦しんでいる肉親を見守る家族は緊張やいら立ち、後悔といった感情を抱きやすい。家族への配慮を忘れてはならない。
[E-P]教育計画
看護計画
  • 疼痛をがまんしないよう説明する。
  • 麻薬製剤について説明する(薬剤師による)。
根拠・留意点
  • がん性疼痛については、痛みが出現する前に薬剤を使用して緩和を図り、痛みによる苦痛を最小限にする。
  • 麻薬製剤に対するイメージに、薬物依存や意識の消失といったものがある。正確な情報を提供して鎮痛を図ることが望ましい。また患者が自己管理する際は、服薬時間や量の間違いによる影響を理解し管理していく必要がある。
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