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看護計画
監修 小田正枝 徳島文理大学 名誉教授
実習でよく挙げる看護診断やよく出合う症状の標準看護計画を紹介します。

Part1
よく挙げる看護診断の標準看護計画

①非効果的健康管理
心筋梗塞、狭心症の患者さんの場合
下舞紀美代 関西看護医療大学看護学部看護学科 教授

定義

病気やその後遺症の治療計画を調整して日々の生活に取り入れるパターンが、特定の健康目標を達成するには不十分な状態

標準看護計画

期待される結果(看護目標)

日常生活に治療計画を組み入れ、自ら心筋梗塞や狭心症の再発が予防でき、健康なライフスタイルを構築することができる。

[O-P]観察計画
看護計画
  • 健康自覚と健康管理
  • 薬の種類と効果についての患者の言動
  • 心筋梗塞・狭心症の病態の理解
  • 再発予防のための行動についての認識
  • 治療参加や行動意欲に関する言動
根拠
  • 自覚症状に対して、患者は今、自分がどのような健康状態(レベル)にあるのかを自己判断できる能力が必要である。そのために、自覚症状から患者が何を判断し健康管理(受診行動や内服管理など)したかを知る必要がある。
  • 患者が治療効果を言葉にして表現できるということは、治療参加と、治療に対する理解の程度を知ることができる。
  • ❸❹病態の理解と再発予防のために、どのような行動が必要かについて知識を確認し、指導内容に加えていく。
  • 治療参加への意欲は、健康管理が維持されるかを判断する指標になる。
[C-P]ケア計画
看護計画
  • 食習慣の改善
  • 運動習慣とリハビリテーション
  • 薬剤管理
  • 明確でわかりやすい治療計画の提案
  • ケア効果の確認と体験の評価
  • 健康管理ができたら、患者の努力や行動に対して称賛する(例:禁煙行動、自発的な運動など)。
根拠
  • 心筋梗塞や狭心症は血管の病変であり、閉塞や狭窄が起こりやすい因子は可能な限り改善する。体重管理やバランスのとれた食習慣は再発予防の要となる。
  • リハビリテーションは、機能回復には欠かせないものであるが、自身でできる運動を習得することも重要なリハビリテーションである。また、一時的なものでなく、患者の回復過程に合わせた運動習慣の具体的な案を提供する必要がある。
  • ❸❹❺❻治療計画は複雑にならないように工夫し、患者の年齢やサポートシステムなどに合わせて立案する。また、患者の意見も聞き入れながら、一緒に計画するとよい。どんな立派な計画であっても、患者が関心をもち意欲的に行えない治療計画では、絵に描いた餅になってしまう。
[E-P]教育計画
看護計画
  • 心筋梗塞・狭心症の病態の説明
  • 予防行動の重要性の説明
  • 食習慣・運動習慣の重要性の説明
  • 健康管理における成果の指標の説明(例:検査データの改善、体重測定など)
  • 家族指導
  • は、患者の回復や年齢などを考慮し、一連の指導計画を段階的に経時的に立案する(例:〇月〇日、〇時~〇時まで心筋梗塞の再発時の症状について説明する、など)。
根拠
  • 疾患の発症要因・病態・症状を知り、患者自身が症状コントロールに参加する必要があるために必要となる。
  • 悪化する要因を学習すること、生活習慣の見直しで再発を予防できることを指導し、再梗塞などを予防するための予防行動がとれるようになることも、自己健康管理が可能になるので重要である。
  • 心筋梗塞や狭心症の発症には、脂質異常症や高血圧、動脈硬化など強い影響を受ける。また、脱水、疲れ、急な温度変化、睡眠不足もその誘引となる。食生活の見直しや適度な運動は予防行動の1つである。
  • 健康管理が効果的であったかを評価し、その体験を次に生かすことが重要である。自分の健康状態を客観的に評価できる指標を説明すると、患者が自己評価しやすくなる。
  • 家族の応援は患者の回復意欲を高める。再発予防は継続して行う必要がある。家族の励ましや協力は不可欠である。しかし、多大な期待は患者の精神的な負担となりやすいため、健康状態を考えた指導が必要となる。

*T.ヘザー・ハードマン,上鶴重美 原書編集,上鶴重美 訳:NANDA-I看護診断-定義と分類2018-2020 原書第11版.医学書院,東京,2018:173.より転載

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