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プチナース国試部

おもしろ過去問

真剣に解いていたはずの過去問、よく読むと「あれれ?」。過去問におもしろく、まじめにツッコミを入れます!

今月のツッコミ!

医師と“意思”疎通して対応を!

<no.10>第96回午前問題75
頭痛の検査で外来受診した女性。異常は認められないと医師から説明されたが、「このままでは職場に行っても仕事がはかどらない」と看護師に話した。
対応で最も適切なのはどれか。
  1. 「異常はないのですから気のせいです」
  2. 「仕事に打ち込んでみてください」
  3. 「入院して経過をみてはどうでしょうか」
  4. 「痛みが起こる時の状況を記録してみましょう」

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解答4 「痛みが起こる時の状況を記録してみましょう」

 うーん、「はかどらない」と、看護師ではなく医師に言ってほしかったですねえ。怖い感じの医師だったのでしょうか。本当はそこまで患者さんが困っているということを聞いてしまったら、医師に伝える必要があると考えます。ですが、もうカルテを書き終わっている状態だといろいろ大変です。ここは医師と看護師の関係が問われます。
 さて、国試特有の誤りの選択肢「突き放す対応」の1と2、一見正しそうですが「異常もないのにここで入院を提案してどうする?」の3は誤りですね。自分の体調の変化を記録して、時間や天候のほか、そのときに何があったのかを知り、頭痛を予防するセルフモニタリングを勧める4が答えです。個人的には「仕事に打ち込んでみてください」の「打ち込む」という言葉の強さと軽めの「みてください」の組合せが好きです。
 患者さんに「痛みがあるときの状況を記録してみましょう」と看護師の判断で言えるような場面は、実習ではなかなかないかもしれません。その意味では貴重な問題です。

おもしろ国試過去問no10

執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono

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国試教室

過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!

<no.10>第107回午前問題58
修正型電気けいれん療法について正しいのはどれか。
  1. 保護室で行う。
  2. 全身麻酔下で行う。
  3. 強直間代発作が生じる。
  4. 発生頻度の高い合併症は骨折である。

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解答2 全身麻酔下で行う。

 名前に「電気けいれん」とありますが、この修正型では頭部に通電して人工的に脳にけいれん時と同じような電気活動を誘発しますが、身体にけいれんは起こりません。よって、3の強直間代発作は起こりません(3.×)。
 2の通り、全身麻酔下で行います(2.〇)。
 骨折や脱臼に代表される合併症もほぼなく(4.×)、患者さんは眠っている間に苦痛なく受けることができます
 行うのは保護室ではなく、専用のスペース(ユニット)です(1.×)。受けた人が暴れたり不穏になったりすることはないので、保護室で行う必要はありません。


正答につながるポイント!

 修正型電気けいれん療法〈mECT〉についての問題です。きちんと学習すれば得点となる知識なので、がんばりましょう。
 精神疾患の治療として、薬物を用いるもの以外に表1が挙げられます。このうち、修正型電気けいれん療法が適応となるケースとして表2があります。
 治療の実際を説明します。通常、全身麻酔を行うので、絶飲食(6時間以上)とします。脳波、心電図、血圧、心拍数、血中酸素飽和度をモニターしながら、静脈内点滴にて麻酔薬で入眠してもらい、酸素吸入を行います。さらに筋弛緩薬などを使用し、電気刺激で脳をけいれんが起きたときと同じような状態にします。麻酔科医の管理とする医療施設も多いようです。副作用としては、覚醒後のもうろう状態や記憶障害頭痛や吐き気などがあります。

国試対策のポイント!

 修正型電気けいれん療法は全身麻酔下で行うので周手術期の知識が関係してきます。

*【mECT】modified electroconvulsive therapy
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表1 薬物療法以外の精神科治療

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*1【入院精神療法Ⅰ】入院中の患者について、精神保健指定医が30分以上入院精神療法を行った場合に、入院の日から起算して3月を限度として週3回に限り診療報酬400点を算定できる

*2【入院精神療法Ⅱ】入院中の患者について、入院の日から起算して4週間以内の期間に行われる場合は週2回を、入院の日から起算して4週間を超える期間に行われる場合は週1回をそれぞれ限度として診療報酬150点(入院の日から6月以内)・80点(6月を超えた期間)を算定できる。ただし、重度の精神障害者である患者に対して精神保健指定医が必要と認めて行われる場合は、入院期間にかかわらず週2回に限り算定できる

国試教室画像


表2 修正型電気けいれん療法(mECT)が適応となる例

国試教室画像
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Keiko Katsuyama

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