プチナース国試部
よく読むと「あれれ?」な過去問に、おもしろく、まじめにツッコミを入れます!
今月のツッコミ!
病室にいない患者さん、いったいどこへ……?
- <no.03>第105回午後問題102
-
Aさん(81 歳、女性)は、6年前にレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。
<中略>かかりつけの病院を受診し、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)と診断され入院した。呼吸器疾患の既往はない。
入院後7日、症状が軽快し明日退院することが決まった。消灯前にAさんが部屋にいないため探すと、小刻みにすり足で歩いているところを発見した。看護師がどうしたのか質問すると「そこに小さい子どもがいるので見に行きたい」と、思いつめた表情で話した。
このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- 転倒の危険を説明する。
- 行きたい場所へ付き添う。
- 子ども時代の思い出を尋ねる。
- 子どもはどこかへ行ってしまったと説明する。
解答2 「行きたい場所へ付き添う。」
まず気になるのは、問題文をよく読むと病室にAさんはいなかったということですが、どこで歩いているのを発見したのかは提示されていません。どうして明確にしなかったのかは謎です。たぶん、状況からして廊下だと思いますが。
正解は、理想の対応はどれかを選べばよいので、状況の許す限り(!?)Aさんの行きたい場所に付き添ってあげてください(答えは2)。じょうずなナースはうまくナースステーションへ誘導して、お茶を出してもてなしたりします。
実際は残念ながら業務に忙殺されて、1のように「転ぶと危ないからお部屋に戻りましょう」や4の「子どもはもう行っちゃいましたよ」という対応をするナースがいます。こういう問題を私は「ナースの現実と闘う問題群」とよんでいます。
執筆:大塚真弓(看護師国家試験対策アドバイザー)
Illustration:Masafumi Ono
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過去問をもとに、正答につながるポイント、国試対策のポイントをていねいに解説!
- <no.03> 第92回午前問題97
- 筋萎縮性側索硬化症の患者に特徴的な症状はどれか。
- 皮膚感覚の鈍麻
- 睡眠時の尿失禁
- 記憶の著明な減退
- 嚥下した液体の鼻孔への逆流
解答4 嚥下した液体の鼻孔への逆流
1.皮膚感覚の鈍麻
→× 運動ニューロンが侵される疾患であり、感覚神経は障害されない。
2.睡眠時の尿失禁
→× 自律神経の機能は保たれるため、膀胱直腸障害は現れない。
3.記憶の著明な減退
→× 知的能力の低下も起こらない(ただし、最新の研究ではごく少数だが認知障害のある筋萎縮性側索硬化症の患者が報告されているので注意)。
4.嚥下した液体の鼻孔への逆流
→◯ 球麻痺症状のひとつで、舌や口蓋筋・咽頭筋が障害される。最終的には呼吸筋の麻痺が起こる。
正答につながるポイント!
筋委縮性側索硬化症は中年以降に発症することが多く、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が進行性に変性、消失していく原因不明の疾患です。表の3タイプに大きく分けられますが、呼吸筋麻痺が早期から顕著な例など病状は多岐に渡ります。
国試対策のポイント!
筋萎縮性側索硬化症について、感覚障害、眼球運動障害、膀胱直腸障害および褥瘡の症状が見られないことを「4大陰性徴候」としています。対策として人工呼吸器のケアが関連しています。
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